25. 今だ! | 『野人魂』 TVチャンピオン野人王 大西琢也が綴るメッセージ

25. 今だ!



もう止まりません。どんどん湧き出してくるものを言葉にしておこう
と想います。まさに「今だ!」。

出逢いが出逢いを呼び、突き動かされるようにして走り出す。しかし、
歩いているのと同じくらい周りが見えている。そんな時こそ、チャンス
です。今ここというタイミングなのです。そこでは一瞬で物事が決まり、
光速の流れが見えてきます。

ホントは理屈じゃありません。でも火起こしに喩えて話をさせてくだ
さい。まず、火を起こすためには道具との出逢いがあります。これは
山の中へでかけてほとんど自分で探します。ものすごい数の木々から、
良き出逢いを見逃さないためには観察力が必要です。またそれと共に
閃きのようにやってくる「何か在る」という感覚。そこへ導く心の羅
針盤が大切です。

歩いていると、突然、あーこれだ。あなたに逢いたかった。そう感じ
たときの直観はほぼ間違いありません。

火錐杵(棒)としてふさわしい樹種はいくつかあるけれど、突き動か
されるような出逢いは少ないものです。

火を起こすには簡単に言えば、棒をぐるぐると回転させて、木と木を
擦り合わせます。そこで摩擦熱が生まれ、熱が木屑にたまり自然発火
するのです。余計なものを挟んでは火がつきにくくなるので注意です。

初めての方はたいてい力任せに火をつけようと歯を食いしばってがん
ばります。しかし、煙がモクモク上がるだけ。あげくに昔の人をヨイ
ショして終わります。

実はここには重大なタイミングの極意が隠されているのです。火を起
こすなんて機会はあまりないかもしれませんが、一応申し上げておき
ます。だって子供と一緒にいるとき、良いこと、悪いことその時を逃
せません。人間関係も、自分の夢も、これからの未来も同じかもしれ
ない。あとになってからじゃあ手遅れのこともあるし。

敢えて言葉にすれば、始めチョロチョロ。ナカパッパ。ん?それは、
ごはん炊きの呪文じゃないの。いえいえ、これが大事です。始めは少
しずつ暖めていくことが大切なのです。あちこち熱が逃げないように、
火錐杵(棒)の先が臼(板)から離れないようにします。しっかりと密
着させることが大切です。

さらにゆっくりと回転させてもいいから、相性を確かめます。コミュ
ニケーションが深まってくると安定してきます。音も匂いも変わって
きます。そうして十分に摩擦熱が溜まってきたら、そのサインとして
煙がモクモクとたくさんでてくるのです。

その時です!「今だーーー!いけー!」と一気に力を加え、回転を上
げます。躊躇しちゃいけませんよ。この時、このタイミングしかあり
ません。ここが分かれ道。寂しい一人旅か。嬉しい楽しい~になるか。

今ここのタイミングを逃さず、あなたの火を生み出してくださいね。

あ、でもその後に焚き火して何か食べる時が一番「今だ!」って
感じるかも。

*写真は03年アフリカ遠征した際の火起こし。ピラミッド前です。
 観光客に囲まれるわ、警察官にも変な顔されるわ。。。
 楽しかった。