36. 筋肉痛 | 『野人魂』 TVチャンピオン野人王 大西琢也が綴るメッセージ

36. 筋肉痛



人の痛みって何だろうか。

あまり考えたくはない。見たくもない。できれば気持ちよくなれる
ことを書きたい。だけど、僕らのより良い人生に貢献できるお宝は
「痛み」のベールを被っていることがあります。

筋肉痛って身体だけじゃなくて、心にもありますね。痛みを越えた
後に超回復によって強くなれる。それは解るけれども、正直言って、
痛みなんてないほうがいい。日常にあるストレス。そのほとんどは
人間関係のものでしょう。だから我々の心は危険なウイルスに常時
さらされているのと同じかもしれません。

争い、暴力、虐待、殺人、自殺。。。
心がピリピリするようなことが、どうしてこんなに多いのだろうか。

他人を傷つけたり、自分を否定したり、そんなことをせずに生きて
いけたらどんなにいいだろうか。無神経でいられたらどんなに楽だ
ろうかと思います。
じゃあ、いったいなぜこんな厄介なものを授かっているのだろうか。

今だからこそ、僕らは「痛み」というものをもっと眼を凝らして観る
必要があるのかもしれません。

僕は子供の頃、親に平手打ちをされたことがあります。俗に言う往復
ビンタってやつです。原因は既に忘却の彼方ですが、そこで殴られた
ことよりも痛かったことがありました。

躾と称して虐待が増えている事実を考えると、単純にお勧めするわけ
にはいきませんが、親の放った一撃。この言葉。

今でも人の痛みを想うとき、浮かんできます。

「お前の顔が痛いだろう。それは当たり前だ。それだけのことをした
のだからな。だけど、お前を殴ったこの手も同じように痛いんだぞ。」

人を殴ったり、苦言を呈するには同じかそれ以上の痛みを伴うことがある。
眼には見えない痛みを敢えて引き受けている人がいる。
そんな時があります。

後になってからでもいい。少し冷静さを取り戻したら、そんなことも視野に
入れてみるといいかもしれませんね。自分の身に降りかかる災い、それは
貴重な気づきのチャンスなのです。

あなたが子供に伝えたいこと。
それはきっと周りにいる他の子供たちにとっても必要なことでしょう。

全ての子供にとって大人の男性は父親。女性は母親です。
今からでも遅くはありません。

筋肉痛を厭わない。そんな大人が身近に必要だと僕は思います。